結論から:設立時にかかる費用
日本の会社設立費用は「一度だけ払う設立費用」と「毎年かかる維持費用」に分かれます。多くの創業者は前者を丁寧に見積もり、後者に驚きます。
まず設立費用です。外国人が実際に選ぶ2つの会社形態で比較します。金額は2026年11月時点の東京における一般的な範囲で、資本金は含みません。
| 費用項目 | 合同会社(GK) | 株式会社(KK) |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 最低6万円 | 最低15万円 |
| 定款認証(公証人) | 不要 | 3万〜5万円 |
| 法人印鑑一式 | 1万〜3万円 | 1万〜3万円 |
| 登記住所(初年度) | 3万〜12万円 | 3万〜12万円 |
| 登記簿謄本 | 約600円 | 約600円 |
| 合計の目安(資本金を除く) | 10万〜25万円 | 22万〜40万円 |
登録免許税の差が大きい理由
登録免許税は資本金の0.7%ですが、会社形態ごとに最低額が定められています。株式会社は15万円、合同会社は6万円です。創業者は通常、最小限の資本金で設立するため、実際に支払うのはほぼこの最低額になります。
つまり0.7%という税率が意味を持つのは、株式会社で資本金約2,140万円、合同会社で約860万円を超えたあたりからです。それ以下では定額課税となり、株式会社の定額は合同会社の2.5倍になります。
株式会社という名称にこだわる必要がないのであれば、ここが最大の節約ポイントです。Amazon、Google、Appleが日本で合同会社を使っている理由は、[こちらの解説](/guides/godo-kaisha-gk-why-amazon-google-apple?lang=ja)で詳しく扱っています。
定款認証:株式会社だけが払う費用
株式会社は設立登記の前に、公証人による定款認証が必要です。手数料は資本金に応じて3万円から5万円程度、紙の定款には印紙税もかかります。合同会社には定款認証の義務がありません。定款を作成してそのまま登記すれば完了です。
この2つを合わせると、株式会社は専門家に相談する前の時点で、合同会社よりおおむね12万〜16万円高くつきます。これは偶然の差ではなく、制度上の差です。
見落とされやすい維持費用
会社は設立した瞬間から安くなるわけではありません。毎年発生する義務の総額が、個人で市場テストをする創業者にとって日本法人が現実的かどうかを左右します。
| 項目 | 目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 登記住所 | 月3,000〜10,000円 | バーチャルオフィス等。郵便の受領が必須 |
| 記帳・税務申告(税理士) | 月3万〜5万円 | 自分で記帳すれば軽減可能 |
| 均等割(法人住民税) | 年約7万円 | 東京都。赤字でも発生 |
| 法人銀行口座 | 月0〜2,000円 | 手数料より開設の難しさが問題 |
| 社会保険 | 給与の約15% | 役員含め従業員を置く場合 |
| 消費税申告 | 上記に含む | 課税売上1,000万円超で必要 |
外国人が見落とす4つの費用
第一に、納税管理人です。国内に居住する取締役がいない場合、日本の税法上、国内で申告を処理する者を選任する必要があります。多くの場合税理士が担当し、当初の見積もりに含まれない継続費用になります。
第二に、銀行口座です。金銭的なコストはほぼゼロですが、コストは時間と準備です。銀行は事業計画、説得力のある登記住所、そして多くの場合面談を求めます。この工程を飛ばしたDIY設立は、数ヶ月にわたり休眠状態になることがあります。手順は[会社設立ガイド](/guides/start-a-business-in-japan?lang=ja)で解説しています。
第三に、翻訳と認証です。外国の会社書類、委任状、本人確認書類には、公的機関認定の翻訳と、発行国でのアポスティーユ認証が必要になるのが通常です。
第四に、年間の申告カレンダーです。法人税、消費税、地方税、従業員がいれば給与と社会保険。これらを落とすコストは、設立時の20万円台の費用とは比べものになりません。
ビザが必要な場合に変わること
会社とビザは別の話です。日本法人を所有するだけであれば、在留資格は不要です。しかし日本に居住して経営するなら経営・管理ビザが必要で、予算はまったく変わります。
このルートでは、実際に出資された資本金500万円、または日本に居住する常勤職員2名に加え、出入国在留管理庁が審査する事業計画と、事業に見合った事業所が必要です。資本金は費用ではありませんが、申請時点で存在し、証明できる必要があります。
2026年10月の制度変更は[経営・管理ビザの解説](/guides/business-manager-visa-japan-changes?lang=ja)にまとめています。実務上の要点は、資本金と人員の要件が以前より厳格に運用されているという点です。
当社の固定料金との比較
「会社設立(登記のみ)」は500ドルです。法的申請と法務局への登記提出を対象とし、登記住所と銀行との関係がすでに整っている方が、設立手続きを正確かつ日本語で処理するための選択肢です。
「会社設立・フルビジネスセットアップ」は5,000ドルで、形態の助言、定款、登記申請、銀行口座開設の準備と調整、そして登記後の業務構築までを一貫して含みます。司法書士が最初から最後まで担当します。上の数字と照らすと、この2つの違いは「会社が存在する」状態と「口座を開設し実際に取引できる」状態の違いにほぼ等しくなります。
よくある質問
10万円以下で日本で会社を設立できますか?
合同会社であればぎりぎり可能です。法定の下限は登録免許税6万円と法人印鑑代ですので、登記住所をすでに確保している場合は10万円に近づきます。株式会社は登録免許税15万円と定款認証3万〜5万円が必ずかかるため、この金額では設立できません。
経営・管理ビザの資本金500万円は「費用」ですか?
いいえ、これは資本金であり費用ではありません。会社に出資され、会社の資産として事業に使えます。ただし、審査を通すためだけに一時的に借り入れて、後で引き出すことは認められません。出入国在留管理庁は、資本金が実在し証明できることを求めます。
会社を維持するには年間いくらかかりますか?
従業員のいない小規模会社であれば、年間15万〜40万円が目安です。登記住所(年3.6万〜12万円)、税理士・記帳代行(年間36万〜60万円、自分で記帳する場合は減額)、そして東京都の均等割約7万円が含まれます。
設立費用は経費として損金算入できますか?
原則としてできません。登録免許税、定款認証、法人印鑑といった会社設立そのものの費用は資本的支出として扱われ、初年度に損金算入することはできません。一方、登記住所、会計顧問料、銀行手数料などの継続的な費用は必要経費になります。
既存の会社を買う方が安いですか?
初めての日本進出では、通常おすすめしません。休眠会社の譲渡は登録免許税を回避でき数週間で完了しますが、過去の債務や決算期、未申告の義務を引き継ぐ可能性があります。安全に進めるためのデューデリジェンス費用は、節約できる22万〜40万円を上回ることが多いです。